大阪地方裁判所 平成元年(わ)1592号 判決 1989年11月28日
本店所在地
大阪府堺市南清水町二丁二番二二号
株式会社ナテック
(右代表者代表取締役 村上武明)
本籍
大阪市西区京町堀一丁目一六三番地
住居
大阪府富田林市久野喜台二丁目七番九号
会社役員
村上武明
昭和一三年六月二六日生
右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官山田廸弘出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人株式会社ナテックを罰金二五〇〇万円に、被告人村上武明を懲役一年にそれぞれ処する。
被告人村上武明に対し、この裁判が確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人株式会社ナテック(以下「被告会社」という。)は、大阪府堺市南清水町二丁二番二二号に本店を置き、標示板及び磁気カード等の製造業を営む資本金四〇〇〇万円(昭和六〇年二月二七日一〇〇〇万円から二〇〇〇万円に、同六二年一一月一四日二〇〇〇万円から四〇〇〇万円に変更)の会社、被告人村上武明は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人村上は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの行為により、その所得の一部を秘匿した上
第一 同六〇年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における実際所得金額が五〇六六万五六一五円(別紙(一)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同六一年二月二八日、同市南瓦町二番二〇号所在の所轄堺税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二〇九五万九六四七円でこれに対する法人税額が六九二万一六〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額二〇五九万三四〇〇円と右申告税額との差額一三六七万一八〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れ
第二 同六一年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における実際所得金額が七四二〇万三八七二円(別紙(二)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同六二年二月二八日、前記堺税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三五六一万三一六二円でこれに対する法人税額が一四〇四万六九〇〇円(ただし、違算の結果一四〇八万一六〇〇円と記載)である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額三〇七五万六三〇〇円と右申告税額との差額一六七〇万九四〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れ
第三 同六二年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における実際所得金額が二億三一二〇万五五九八円(別紙(三)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同六三年二月二九日、前記堺税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五八二五万一一七六円でこれに対する法人税額が二一九七万五六〇〇円(ただし、違算の結果二二六〇万二八〇〇円と記載)である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額九四九七万七五〇〇円と右申告税額との差額七三〇〇万一九〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示事実全部について
一 被告人村上の当公判廷における供述
一 被告人村上の検察官に対する供述調書
一 収税官吏作成の被告人村上に対する質問てん末書一六通
一 藤原正喜及び宮崎信行の検察官に対する各供述調書
一 収税官吏作成の藤原正喜(一〇通)、宮崎信行(一〇通)、村上次郎(五通)、小倉直三郎、秋朝信男(三通)、関戸猛及び岩城啓三に対する各質問てん末書
一 収税官吏作成の査察官調査書一二通(検察官請求分証拠等関係カード番号9、12、14、16から18、20、21、24、25、27、30)
一 堺税務署長作成の証明書(同7)
一 検察事務官作成の捜査報告書
一 商業登記簿謄本
判示第一の事実について
一 収税官吏作成の脱税額計算書(同1)
一 堺税務署長作成の証明書(同4)
判示第二及び第三の各事実について
一 収税官吏作成の査察官調査書三通(同13、15、31)
判示第二の事実について
一 収税官吏作成の査察官調査書(同22)
一 収税官吏作成の脱税額計算書(同2)
一 堺税務署長作成の証明書(同5)
判示第三の事実について
一 収税官吏作成の査察官調査書六通(同10、11、19、23、26、28)
一 収税官吏作成の溝口銀子及び佐野淳に対する各質問てん末書
一 収税官吏作成の脱税額計算書(同3)
一 堺税務署長作成の証明書(同6)
(法令の適用)
被告人村上の判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するので、所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役一年に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。
さらに、被告人村上の判示各所為は被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、法人税法一六四条一項により判示各罪につきいずれも同法一五九条一項所定の罰金刑に処せられるべきところ、情状により同条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により合算した金額の範囲内で被告会社を罰金二五〇〇万円に処することとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 的場純男)
別紙(一)
修正損益計算書
(株式会社ナテック)
自 昭和60年1月1日
至 昭和60年12月31日
<省略>
別紙(二)
修正損益計算書
(株式会社ナテック)
自 昭和61年1月1日
至 昭和61年12月31日
<省略>
別紙(三)
修正損益計算書
(株式会社ナテック)
自 昭和62年1月1日
至 昭和62年12月31日
<省略>
別紙(四)
税額計算書
株式会社ナテック
<省略>